関連記事: (2023/6/17 更新) [OBS Studio] Waves のプラグインを使いたい – Extrose による手記 (stoicsounds.jp)
先日 Waves がついに OBS Studio に対応した
私もゲーム実況で使えたらなと思っていたところ、やっとの対応かというところ
DTMをやる都合で Waves のプラグインはいくらか保有しているので、
これらが使えるとなると、調整の幅はかなり広がる
そこでしばらくゲーム実況を続けて、調整を重ねて 現段階で落ち着いた設定があるので紹介する
なお、ゲーム実況においては「自分の声」を用いる
「声の質」は当然ながら人それぞれ異なるので、そこは自分が気に入るよう調整すること
また、これから紹介するプラグインは 私が使っているもの なので、
他で代用しても良いと思う
Part.1 音声編
1. OBS 「ノイズ抑制」
例えば、エアコンとか、扇風機とか、実況者を悩ませる要素だけども、
そのあたりをある程度いい感じに除去してくれるのが ノイズ抑制
他に「ノイズリダクション」などと言ったりする
Waves や iZotope にもノイズリダクションはあるものの、
OBS標準の ノイズ抑制のうち「RNNoise」で十分じゃないかなと思う
ちなみに防音室を備えている、広い部屋に住んでいるリッチな人(妬み)は多分、これは要らない
2. OBS 「ノイズゲート」
音量のレベルが一定量以下なら音をカットする、という役割を持つ ノイズゲート
先の「ノイズ抑制」は、あくまでノイズを抑制するまで
抑制した結果、微小な音として残ることがある
それをカットする目的でノイズゲートを用いる
これも他社プラグインを使わずとも OBS標準で十分ではないかと思う
3. OBS「VST 2.x プラグイン」
さて、この記事を開いた人が一番知りたいところだとは思う
VST 2.x プラグインに「Waves StudioRack for OBS」を刺してある
この中身を紹介する
全体像はこちら
3.1. iZotope 「RX 7 Voice De-Noise」
RX 10 Background Noise Removal & Audio Cleanup Software | iZotope
※現在は iZotope RX 10
ノイズリダクションの一つ
RNNoise で十分だったんじゃないんかい!となるアサインだが、
実際に調整を重ねると、RNNoise だと少し気になる部分が残った(と思う) ので、ダメ押しで差している
Adaptive mode にすると動的に分析、動作する
RX 7 には同列に「Spectral De-Noise」というものもあるが、
こちらは「数秒 サンプリングして除去する」という動作をする都合上、
サンプリング時間だけ発音が遅れてしまう
なので、ゲームキャプチャなどに プラグイン「遅延」を噛ませるなど工夫が必要になってしまう
3.2. iZotope「RX 7 De-ess」
RX 10 Background Noise Removal & Audio Cleanup Software | iZotope
※現在は iZotope RX 10
さ行を発音するときに、耳障りな空気が抜ける音がする、これを歯擦音という
実況に乗ると、歯擦音は耳に刺さる
ディエッサーはこの歯擦音を抑制する目的でよく使われる
ディエッサーを持っていない場合は EQ で 5khzぐらいを落とせば 同じような機能になる
数あるディエッサーのうち、iZotope RX7のものを採用しているのは、
iZotope 社は このあたりのノウハウが豊富であろう、という信頼から
DeEsser Plugin | Waves
Waves の場合は DeEsserか
Renaissance DeEsser Plugin | Waves
Renaissance DeEsser となる
個人的には RDeEsser のほうが良いと思う
3.3. Plugin Alliance 「Maag EQ4」
Mäag Audio EQ4 – Plugin Alliance (plugin-alliance.com)
このプラグインは気持ち程度、なので「ほーん、ふーん」みたいな感じで流してもらって良い
ちなみに実機が存在し、このプラグインはそのエミュレートとなる
Plugin Alliance の このEQは「40kHz」を調整できる
さて、音を知っている人なら「40kHz」を調整してどうすんねん!と思うかもしれない
人の耳はだいたい20Hz~20kHz あたりまでを聞き取れると言われている (可聴域)
そこで 40kHz を調整したところで人の耳には認識できない
じゃあこのEQは 40kHz で結局何をしているのかというと、
「40kHz を中心に、非常に広いQを持つ」ので、耳障りが悪くなりにくいハイの上げ方をしてくれる
※空気感が出る、と表現される なので「Air Band」とも書かれている
3.4. SSL 「Native Channel Strip 2」
SSL Native Channel Strip 2 (solidstatelogic.com)
キモとなるパラメータが入っている箇所
大層なものを使っているが、要はEQとコンプとして使っているので、
お手持ちのなにか EQとコンプ に読み替えてほしい
ミキサーの老舗かと大手の SSL 謹製の チャンネルストリッパー
チャンネルストリッパーというのは、「2ch(または1ch) に必要な機能を纏めたもの」で、
ミキサーの 1ch をイメージするとわかりやすい
さて、ここで見るべきは左側のEQ
パラメータを文書化すると下記のような感じ
・8.6kHz +5.0db (※赤)
・1.0kHz -5.0db (※青)
・200Hz -16.5db (※黒)
EQを調整する上で、「自分の声はどうなっているか」を分析する必要がある
私の声は「低音が非常に強く、ハイが抜けにくい」と評価した
なので、低音はがっつりカットしているし、中低音も更に落としている
男性は低音が強めなので、このあたりを調整すると良い
モニタースピーカーを使って、地響きが起きない程度が良いと思う
とはいえ低音はカットしぎると「芯」が失われて 逆に聞き取りにくくなる
Youtube配信なら非公開設定で配信できるので、
それでテスト配信、スマホや自分のPCで試験的に音を聞く、ということをやってみると良い
このチャンネルストリッパーのパラメータで右上のコンプレッサー部も多少使っている
「小さな声」のときにレベルが触れず、「大きな声」のときに抑える、といった設定にしている
ここも 手持ちのコンプレッサーに置き換えて良い
※単体売りなし?バンドルのみ?
Waves なら Q4 あたりで良い
Q10 までいくとバンドが多すぎる
H-EQ だと負荷が高いと思うし、2023/7/9 時点、OBSで使おうとするとクラッシュする
フリーなら Spline EQ とかで十分
もちろん 他のEQでも良い
SplineEQ by Photosounder – EQ Plugin VST Audio Unit (kvraudio.com)
C1 Compressor / Compander / Gate Plugin with Sidechain | Waves
コンプレッサーは C1 になる
入力している音源が人の声 1つなので、複数の音域を調整したい C4やC6までは要らないと思う
3.5. Plugin Alliance 「Vertigo VSC-2」
Vertigo VSC-2 – Plugin Alliance (plugin-alliance.com)
これもコンプレッサー
二重でかけることで更に整えている
Waves でやるなら先述の C1 あたりで
余談だが、アナログ系は指すと「アナログっぽい」感じになる
プラグイン収集に余力ある人は 自分の好きな、アナログをエミュレートした系統のプラグインを集めてみると良い
3.6. Waves「L3-16」
L3-16 Multimaximizer Multiband Mastering Plugin | Waves
Wavesのプラグインこれだけかよって
音を整えるならやっぱりこれ
Waves L1 とか、Slate Digital FG-X とかいろいろ試したけども、
音を大きく変化させずに安定してリミッターをかけるなら これだと思う
※シングルバンドとマルチバンドの差でもある
パラメータもプリセットで十分
これは「Vocal Focus」というものを採用している
ただ、手で調整が必要なのは左側「Threshold」と「Out Celling」
ゲーム実況においてはゲームの音と声をミックスする
声が -0.1db まで出てしまうと ゲームの音が乗る余剰がなく 音が割れてしまう
-2.0db まで落とし、ゲームの音を乗せるために まず「Out Celling」は-2.0db にする
Threshold は「小さな声」でほぼ決定する
小さな声のときに触れないぐらいし、「大きな声」でモニタして割れなければベスト
ことこれについては代用は難しい気がする
4. OBS 「VST 2.x プラグイン」
無効になっているこれは何か?
Loudness Meter Plugin – WLM Plus | Waves
PAZ Analyzer Audio Analyzer Plugin | Waves
ラウドネスメーターや、スペクトラムアナライザーといった分析プラグインを差してある
調整後は使う必要がないのと、有効にしていると無駄にリソースを食うため、無効化している
Part.2 ゲーム音編
こちらについてはパート組する必要もないレベルだが、一応掲載
L316 が刺さっているだけ
すなわちリミッターとして活用している
一応 L316のパラメータ
プリセット「Basic 2」をもとに、Threshold、Out Celling だけ調整
個人的な感覚、ゲーム音 -14db + 自分の声 -2db ぐらいがちょうど良い感覚だと思う
ちなみに Threshold の決め方は、ゲームによる
基本的にはゲーム中のピークの音を基準にするより、ゲーム中の平常時の音を基準にすると良い
ただ、音の大小(ダイナミクス)が重要なゲームにおいては、ピークの音を基準にするのが望ましいか
Part.3 使用を検討したが使わなかったプラグイン / 使うと面白いプラグイン
Waves 「Vocal Rider」
Vocal Rider Plugin | Waves
コンプレッサーの一種
音量に応じて 中央の「Rider」が動的に動く
現場においては、音量によって手動で操作する「手コンプ」を自動で行ってくれるもの
私の音量の大小で調整しようとすると Vocal Rider では追いついてくれないので使わなくなった
Waves 「Tune Real-Time」
Waves Tune Real-Time Plugin | Waves
音程を自然に調整するもの
歌ってみたとかに差しておくと安定感が出ると思う
・・・が、本当はこういうのに頼らず、しっかり音程を捉えて歌うべき、とは思う
Waves「Doubler 2」
Doubler Vocal Doubling and Harmonizer Plugin | Waves
もうこれはほんとおもちゃ
音を分散させ、ステレオ感を出すもの、コーラスともいう
通常不要だが、なんか変な感じにしたい場合は使ってみると良い
Native Instruments 「Guitar Rig 6」
ギター : Guitar Rig 6 Pro | Komplete (native-instruments.com)
プラグインのスキャン対象に入れていないのでスクリーンショットは割愛
ギターアンプとして、というよりはマルチエフェクターの扱いで
軽いまとめ
結局、メインとなる音声調整の箇所は Waves のプラグインが少なく、Waves の記事ではないと思うかもしれないが
これらの調整が可能になったのは 「Waves StudioRack for OBS」のおかげであるので、Wavesの話である
つまり、「Waves StudioRack for OBS」がもたらしたのは、Wavesのプラグインの使用にとどまらず、
様々な企業のプラグインの使用ができるようになったという、音の柔軟性である
これからプラグイン収集をする人は Waves に限らず、自分好みのものを探してみてほしい
・・・つまり沼へようこそ